成功の鍵は「いかに飽きさせないか」 ポストに花を届ける「Bloomee LIFE」のサブスク戦略

花のサブスクリプションサービスを展開するCrunch Styleの武井亮太代表にインタビューしました

定額でポストに花を届けるサービス「Bloomee LIFE」を展開する株式会社Crunch Style。2019年8月には3億円の資金調達を達成し、サービスをさらに加速させています。

最近は、あらゆる領域でサブスクリプション型サービスが登場する一方で、収益化につなげることができず撤退する企業も出てきています。Crunch Styleは、どのような戦略でファンの心をつかみ、事業を拡大しているのでしょうか。武井亮太代表に、起業エピソードとサブスク戦略について聞きました。

「より多くの人に影響を与えたい」から起業を決意

ー事業の概要を教えてください

武井:「Bloomee LIFE」という、花のサブスクリプションサービスを行っています。事業を立ち上げて最初は花のECサービスをやっていましたが、そこからピボット(方向転換)して今のサブスクという形に至りました。

全国の生花店100店舗と提携をしていて、サービスをご利用いただいているお客様のもとには、全国生花店さんから毎週季節のお花がランダムで届きます。お花のサブスク自体は過去からありましたが、ポストにお花を届けるという形で展開しているのは我々が日本初です。

「体験プラン」、「レギュラープラン」、「プレミアムプラン」の3種類を用意しており、レギュラープランで800円(送料別)と、一回あたりの金額も手頃に抑えている点が特徴です。

有料会員様は約1.5万人いて、インスタで知り、ご登録いただく方が多いです。現状は、完全に自宅向けのサービスとなっています。

ー起業に至った経緯ときっかけを教えてください

武井:もともと教育学部出身で、学校の先生になるつもりでした。自分自身、良い教師に出会えたことで人生に影響を受けたので、自分も逆の立場で人に影響を与えられる人になりたいという思いがありました。

大学では、教育実習でリアルな教育の現場を見ると同時に、ベンチャー企業でのインターンもやっていました。そのベンチャーは社員5人ほどの規模でしたが、サービスが全国に広まっていく場に立ち会うことができました。

そこから、教師と企業の経営者とでは、影響を与えられる人の範囲が異なることを感じ、より多くの人に影響を与えられる起業の道を志すようになりました。

ー起業を志してから、どのような流れで今の事業を構想したのでしょうか

武井:「毎日にちょっとした感動を」を理念に、より多くの人が使ってくれる事業を探したところ、日常に関わるライフスタイル領域が良いと考えました。同時に、多くの人に影響を与えるためには、既に成熟した市場ではなくブルーオーシャンの領域のほうが良いという視点も持っていました。

そんな中、独立前に務めていた会社を辞めるタイミングで花をもらった時、なかなかIT化が進んでいない花業界にポテンシャルがあるのではないかとひらめきました。

ー最初に始めた事業と、そこから今の形に至った経緯を教えて下さい

武井:起業してから、花を贈り合う文化を作りたいと考え、まずプレゼント用のECサービスをはじめました。ネット上でお花屋さんに直接相談してオーダーメイドできるようなサービスですが、あまりうまく行かず1年位でピボットを決意しました。

ピボットのタイミングで、ユーザーに対して「なぜお花を買わないのか」というヒアリングを行った結果、「花のプレゼントが高価になりがちであること」、「普段の生活にお花が馴染みないから、プレゼントの選択肢になりにくいこと」という2点を挙げる人が多かったのです。

そこから、日常的に花に触れる機会と価格のハードルを抑えたサブスク型のビジネスモデルに着想しました。

サービスの事前予約を開始したところ、SNSなどでも話題になり1500人くらいが集まりました。ここで手応えを感じました。ローンチしてからも右肩上がりで伸びていきました。

ピボットで、サービス作りの優先順位を大きく変えた

ーサービスの準備で意識したポイントを教えて下さい

武井:私たちは生花店ではなく、生花店とユーザーをつなぐプラットフォームです。ユーザーが喜んでくれるより前に、生花店がやりたいと思ってくれないと成り立ちません。ユーザーのニーズを掘り起こすことと、生花店のニーズを聞くことを別々に行う必要がありました。

実際に生花店のニーズを聞いてみると、花の業界の人はまず「郵送」に前向きではありませんでした。花の傷みなどを考えたとき、ユーザーに直接届けたいという声が多い。さらに、扱う商品の単価も低いので、市場の常識と逆行していました。ある程度想定していたとはいえ、やはり大きなギャップでした。

花の業界は伝統的で、職人肌が強い業界です。ただ単に、「ITやサブスク型がいいから使ってください」と勧めるだけでは使ってもらえない。なので、「一緒に花の業界を盛り上げたい」という気持ちと、花を作るプロフェッショナルとしてのリスペクトを忘れないように、最初はお花屋さんに何回も通って、仕入れを見たり、お手伝いをしながらコミュニケーションを取った結果、5店舗お花屋さんが導入してくださりました

始めは大変でしたが、生花店にとっては売れた分だけお金が入ってくる、負担の少ないシステムなので、実際に1度やっていると納得していただけました。

ー他社サービスとどのように差異化を図っていますか

武井:花のサブスクは、1店舗から送る・生産者から直接送るというサービスが多い中、Bloomee LIFEは全国の様々な生花店からお花が届くという点が他にはないユニークポイントになっていると思います。

サブスク型のビジネスは、便利ですが、「飽きられてしまいやすい」というネックもあります。いかに飽きさせない仕組みを作るかを考えたとき、便利さだけでなく付加価値をつける必要がありました。

ー他社サービスとどのように差異化を図っていますか

武井:やはりピボットしたタイミングが大変でしたね。業績が低迷している中でピボットするのは勇気がいりました。最初のサービスではヒアリングが弱く、ユーザーのニーズを深堀りできていなかったので、サブスクに変えるタイミングではニーズを徹底的に深堀りしました。

また、最初のサービスではユーザーのニーズと花屋のニーズを同時に聞いていましたが、サブスク型に変えるにあたってまずニーズの掘り起こしをユーザー視点に振り切って、その上で生花店を説得し協力していただくという形に変えました。ヒアリングの優先順位を大きく変えたのです。

結果として、この決断が上手くいきました。

組織づくりは「代表の権限が強すぎない」を意識

ーサブスク型のビシネスモデルが増えている現状をどう見ていますか?

武井:サブスクの事業が増え、今後さらに激戦化していくことが予想されますが、サブスクのシステムはシンプルで、それ自体にあまり価値が無いと考えています。なので、「安い、便利」というだけでは立ち行かなくなるのです。それよりも、顧客のデータをどう使うか、ユーザーが飽きない仕組みを作るにはどうするか、ユーザーによりファンになってもらうためには、といった、「いかに付加価値をつけていくか」が大事になっていくと思います。サブスク型で始めたその先にどうしていくか、ですね。

ー資金調達の反響を教えてください

武井:資金調達をし、Bloomee LIFEの認知が上がることで、参加している生花店のブランド力や、参加することへのバリューが高まっていることを感じています。結果として、お花屋さんもよりよいサービスを提供しようと、努力してくださっている点が非常に嬉しいです。

ー今後の事業展開を教えて下さい

武井:まずは、既存サービスのブラッシュアップのため、ユーザーの評価データをもとに、好みに合わせてパーソナライズ化した花を届けられるようにします。取り込んだデータとニーズを、どのように花屋に落とし込んで提供していくかという、インフラ周りを整える必要がありますね。

また、新たなサービスとして、法人向けサービスの展開を予定しています。スモール系店舗ビジネスの事業者をターゲットに花を提供していきます。

ー組織づくりで意識している点を教えて下さい

武井:組織づくりにおいて、私は「権限移譲(上司が部下に権限を付与すること)」を意識しています。事業をピボットして、「Bloomee LIFE」を始めるときも、自分の意見じゃなくてユーザーやメンバーの意見を取り入れるようにしたことで、サービスが成長しました。

経営者の権限が強すぎると、会社は代表の器以上には伸びなくなってしまいます。自分の意思がいい意味で反映されすぎないような組織づくりを行うと、上手く行くのではないかと思います。

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(取材協力:Crunch Style 武井亮太代表)
BB-WAVE掲載日:2019年11月13日

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