NPO法人農家のこせがれネットワーク代表 宮治勇輔氏インタビュー

【2017年7月13日カンブリア宮殿出演】農業のイノベーターに聞く、これからの農家が進むべき道

ー農業でビジネスを拡大するためのポイントは?

宮治:大事なのは複数の販路を持つことです。農業に限らず販路が1つしかないということは、商売上とても危険なことですよね。農産物の価格が下がっていった要因として、需要と供給のバランスが崩れたということももちろんあると思いますが、僕はその一方で農家が販路を1つしか持っていなかったことも原因だと思っていて。1箇所にしか出していないと、どうしても買う側が強くなる。いわゆる買い手市場ですよね。そうなった結果、じわりじわりと価格が下がっていった。

ですから本当は、市場を活用しながらも、地元のスーパーにもマルシェにも出荷して、インターネットでも販売する、というのがベストだと思います。口座に入金されるまで価格が分からないというのは農業ぐらいですからね。

ーダイレクトに値付けができても良さそうな業界なのに、意外ですよね。

宮治:逆に言うと、カッチリ仕組みが出来上がっているんですよ。農業はよく遅れている業界だと言われていますが、僕はまったく逆だと思っていて、農業の流通ほど進んでいる業界はありません。市場に持って行けば全量買い上げてもらえて、日本全国のスーパーでいつ行っても同じものが買える。完璧なシステムですよね。ただ、それに甘えすぎていると徐々に首を締められていくので、今の仕組みをうまく活用しながらどうやって新しいビジネスモデルを作れるか、というところが今後の課題ですね。

それから、農業の理想はできた農産物をそのままの状態で出荷することです。今、国は盛んに農産物に付加価値を付けろと言っています。でも農業はさまざまな加工はせず、農産物を全部市場に出して適正価格で買ってもらうことが一番楽ですよ。農家は作るのはプロでも、必ずしも売るのはプロじゃないですからね。

ー最後に、起業したばかりの経営者にメッセージをお願いします。

宮治:僕が会社を辞めて実家に帰った時、ビジネス小説を書いているある作家さんに「成功の秘訣はフォーカスだ」と言われたんですね。これって結構大事なことだと思っていて、起業していろいろなことをやりたくなっても、初志貫徹で自分の想いを絞り込んでやり続けることでしか成功は見えないなと。自分の道を信じて、ブレずに頑張ることが大事だと思います。

若いうちは何でもできると思って夢と希望に溢れて起業しますが、できることは限られていて、いかに自分の作品を徹底的に磨き上げていくかということが大事。ビジネスの原石が転がっている中で1つ拾って起業すると思いますが、その原石を徹底的に磨き上げていくことでしか成功はないんだろうなと思います。自戒を込めてですけどね。

(編集:創業手帳編集部)
BB-WAVE掲載日:2017年08月09日