NPO法人農家のこせがれネットワーク代表 宮治勇輔氏インタビュー

【2017年7月13日カンブリア宮殿出演】農業のイノベーターに聞く、これからの農家が進むべき道

日本の農業を変革するのは農家のこせがれたち

ー新たなビジネスモデルを確立した後、宮治さんは2009年にNPO法人を立ち上げましたね。

宮治:日本の農業を良くしていくために何が必要かと考えた時、自分のような農家のこせがれが一度社会に出て農業とは別の職に就き、親が持っていない知見やノウハウ、ネットワークを持って帰って農業を継ぐと実は結構いいんじゃないかと思ったわけです。机上の空論ではなく自分自身の経験から、日本の農業を変革するのは農家のこせがれたちじゃないかと思い、その支援を行うNPOとして農家のこせがれネットワークを立ち上げました。

ミッションは、都心で働いている農家のこせがれたちに農業の魅力と可能性を伝え、実家に帰って農業を始めてもらうこと。「一次産業を、かっこよくて・感動があって・稼げる3K産業に」というのが僕の想いです。

ーメンバーの8割が普通のビジネスマンだと聞きました。

宮治:メンバーというか、あくまでも緩やかなネットワークなんですね。農業者の集まりは全国にたくさんありますが、農業者だけが集まってもたいしたことができない。現場を持って農作業をやっているので、その中でやりたいことがあったとしても農業者だけでは実現することができません。農業者以外の人が入ることによってより物事が進んでいきますし、農業者だけのネットワークなら僕が作る必要はないと思いました。

ー立ち上げた当初は「5年で農業を変える」とおっしゃっていましたが、現状はいかがですか?

宮治:全然変えられませんでしたね(笑)。ただこの5年で、農家のこせがれが実家に戻ることが実は一番農業の活性化につながるんじゃないか、という気運が作れたのではないかと思っています。

日本には年間5、6万人の新規就農者がいます。農林水産省はこれまで青年就農給付金を新規就農希望者だけに出していましたが、昨年から方針を変え、こせがれであっても5年間の給料補助が受けられるようになりました。この流れは感動的でしたね。国は未だに一生懸命新規就農者を増やそうと頑張っていますが、それ以上に大事なのはこせがれの就農なんですよ。

ーその理由は?

宮治:農家のこせがれは自分が生まれた頃からその地域で暮らしていたわけですから、当然周りの人もみんな知っている。既存の経営基盤もあって、この違いは天と地の差です。ゼロからやるって大変じゃないですか。新規就農は起業と同じなんですよ。さらに農家の最初の1、2年なんて無収入ですからね。でも農家のこせがれであれば、実家に住んで農業に取り組めば、家賃タダ、食費タダですからとりあえずは生きていけます。

ー確かにゼロから農業を始めるというのはハードルが高いですよね。

宮治:星野リゾートの星野社長が監修した『星野佳路と考える ファミリービジネスマネジメント』という書籍が日経BP社から出ていますが、その中で星野さんは「大企業が5%成長するのは大変だが、家族経営の会社は少しテコ入れすればいい」と述べています。日本は97%の会社が同族経営らしいですが、「ファミリービジネスは伸びしろがたくさんあるからもっと研究していかなければいけない」と。みやじ豚も僕と弟が帰って3年で売り上げが5倍ぐらいになったんですよ。