シンデレラバスト発案で話題の大学生起業家、ハヤカワ五味に聞くものづくりとビジネス

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目標は、人をデザインするということ

―お客さんから言われて嬉しかったことはありましたか?

ハヤカワ:展示会の時にわざわざ遠くから来てくださる方がいるんです。原宿で展示会をやった時は、北海道から飛行機で来てくれた方や、中部のほうから来てくれている方もいました。

実際にお客さんから聞いた声でやってて良かったと感動したのは、背骨が歪んでいる方だったり、胸が陥没する病気の方と話した時です。私としては胸が小さい人向けという想定でやっていましたが、うちが作ったブラジャーにすごく救われていますと言ってくださって。本当に辛かったんだと思います。泣きながら話してくれました。

そういう時は、やっていてよかったと感じる瞬間ですね。

私自身、ブランドで利益を出すとか食っていくとか、正直どちらでもいいんです。利益的な話でいったら、ブランド以外の仕事でも食っていく自信はあるので。

でも、やっぱりブランドをやっていて良かったと思うのは、人の人生を変えたり、価値観を変えるようなことが仕事としてできたということです。そこが個人的にはすごくよかったなと思っています。

―もともと人助けをしたり人に喜ばれたいという思いが根本にあって、それがたまたまアパレルだったということですか。

ハヤカワ:はい。私は人をデザインするということを目標に掲げています。

私がロリータ服に結構人生を変えられた部分があって、人に対していい意味で精神的な影響を与えることが、他の人にもできたらなあと思ってやっています。今は服でやっていますけれども、今後また別のイベントだったり他のことでできるかなと思っています。

人を変えることが目標で、その手段としての物作りであり、販売であり、宣伝なので、そこは忘れないようにしたいと思っています。

自分は何もできない、だから助けてくれる

ーチームとして物作りをやるなかで、大切にしていることはありますか?

ハヤカワ:私が一番大切にしているのは、別に意識してやっているわけではないですけれども、それぞれの人たちをリスペクトするということです。

私はもともとすごくプライドが低くて、自分はダメだと思っているので、自然にいろいろな人を尊敬しています。カメラマンとか事務を手伝っている子も。だからうまくいってるのかなと思っています。

私もクリエーターなので、私の上にリーダーがついて何かやることも結構多いです。けれども、自分が偉いと思っているリーダーはだいたいダメで、それぞれのことを信頼していなくて、「自分がやったほうが早いけど、君たちにやらせてあげるね」という人が意外と多くいます。

それだとモチベーションが上がらないからクオリティも下がるし、最終的にしわ寄せが来て、それをリーダーが尻拭いして、「やっぱり俺はすごい」という悪循環が起こってしまいます。

私はみんなと一緒にやるということを意識しています。

人間が3人いて、その後ろに台車が付いていた場合、台車に乗っている人がリーダーか、3人の先頭に立って一緒に引っ張るのがリーダーかという話があります。私は、先頭でみんな引き連れていくほうが私であり、代表というものかなと思っているので、そこは忘れないようにしています。

あと強いて言うなら、基本的に何もできないので、みんなに何かしてあげなきゃと思われるようです。「ハヤカワ五味がなんかヤバイ、助けてあげなきゃ」みたいな部分が根底にあるのかなと思います。

ーそれがあって130人も応援者が集まったんですね(笑)

ハヤカワ:たぶん、ハヤカワがやることだから楽しんだろうみたいなのがあったんだと思います。実際、楽しく仕事することを理念としてやっているので、そういう部分がやっと伝わってきてよかったなと思います。

やはり1つ信用を付けてしまえば、今後何をやるにしても自分の考え方を認めてもらいやすくなるし、変な話、ギャラがなくても一緒にやりたいという人じゃないと良い物ってできないんだなっていろいろなところで実感しました。今、やりたいことを一緒にやりたい人とやれて、すごく幸せだと思います。

ーハヤカワさん自身がちゃんと声を発信しているからこそ、セルフブランディングがうまくいっているという印象ですね。

ハヤカワ:大きなギャラは渡せないし、本当に「仕事=楽しい」が基本ですから。でも仕事じゃなくても別に楽しければ何でもいいんです。

普段から楽しいことをしようと思っていて、突然「焼き鳥パーティーします!」みたいな(笑)。隣の人が聞きつけたらしくて、まだ焼いてないのに不動産屋さんから「焼き鳥してますよね」って電話がかかってきたこともありましたけど・・・。

いろいろワイワイとやっているんですけど、それも含めて全体で楽しんでもらっているから1人のパフォーマーとしてもいいかなと。今後もこんなスタイルで進んで行こうと思っています。

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次はレクリエーションに挑戦

―胸が小さい人向けがメインになっていますが、巨乳の人も胸の形が崩れやすいなどの問題を抱えていると思います。そこに対して挑戦することは考えていますか?

ハヤカワ:まだ考えていないというか、今後もやっていかないと思っています。

私自身が胸が小さいという悩みがあるから胸が小さい人向けのブラジャーを作れるだけで、大きい胸の人向けは大きい胸の人が作ったほうがいいと思うんですよ。ビジネスとしては可能性があるし、やれば利益は出ると思います。私がやれば広告的には外さない自信もあります。

でも、私がやってもすごく空虚というか、それこそ本当にビジネスでしかないのです。ちょっとニッチな市場にも大手が手を出したくなるくらいにうちの企業がスケールして、「あっちは貧乳やってるからこっちは巨乳やるか」みたいに大手が競い始めてくれたらこっちの勝ちかなと思っています。

―今後アパレル以外にやってみたいことは、ありますか。

ハヤカワ:すでに面白法人カヤックもやっていますが、私は本当に今、アパレルの仕事しか基本的にお金が入ってこなくて。ハヤカワ五味として入ってくる仕事は、たいてい講演系かメディア系かアパレルです。

それがつまらないと思っていてカヤックにいるので、アパレル以外のプロダクトだと、1対1のイベントなどですね。今ちょっと気になっているのはスポーツやレクリエーションと言われる分野なので、今後やっていこうかなと思っています。

たぶんレクリエーションは直近で動き始めそうなので、ぼちぼちやっていくかなという感じです。やはり楽しい人達が多いので、面白いですね!

これからベンチャー起業を目指す、若手起業家へ

―ハヤカワさんは19歳。皆さんに若手経営者と言われると思います。これから大学生が自分でベンチャーを起こすということが増えてくると思いますが、若手の起業家と呼ばれる人たちに送るアドバイスやメッセージはありますか?

ハヤカワ:起業は目標でも目的でもなくて、手段でしかありません。何をやりたい、こうなりたいという願望がなかったら、どこかでしくじると思うので、その理念だけは本当にしっかりと持ってやるべきだと思っています。

起業を1つの経験としてやってみるとか、就職に有利になるからやるということであれば別にいいと思いますが、本当に自分のやりたいことがあるなら、そこを軸にして、起業を手段としてもっとライトに考えて使えるようになっていったらいいのかなと思います。

いろいろな人から様々なことを言われるし、悪い誘惑をしてくる人もいます。けれどもちゃんと軸を持っていれば、その点でブレることはないんです。

若手でやりはじめると一気にお金が手に入って、目標がブレたりすることがありがちです。だから最初の目標が何だったのか、しっかり思い出して進んでいけばいいのかなと思います。

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株式会社ウツワ/feast
(編集:創業手帳編集部)