シンデレラバスト発案で話題の大学生起業家、ハヤカワ五味に聞くものづくりとビジネス

ラグジュアリーブランド『feast』デザイナー兼、株式会社ウツワ社長であるハヤカワ五味氏 特別インタビュー

ネガティブなイメージであった貧乳を「シンデレラバスト」と表現し、「品乳ブラ」としてAAA〜Aカップ用の下着を展開している、ラグジュアリーブランドfeast。現在大学生でありながらfeastを立ち上げたハヤカワ五味氏に、立ち上げの経緯や、資金調達の方法、今後の展望などを伺いました。
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ハヤカワ五味(はやかわ・ごみ)
1995年、東京都出身。多摩美術大学グラフィックデザイン学科2年在学中。高校時代から服飾の創作活動を始め、デザインフェスタに出展。2015年に株式会社ウツワを興し、代表取締役に就任。同年5月にラフォーレにてポップアップ出展。6月に原宿で行った、「少女漫画」シリーズの展示予約会では初日だけで100人の来客があり、年末には渋谷のGARRET udagawaにて 新作「RPG」シリーズのお披露目ショーイベントを予定している。GOMI HAYAKAWAの妹ブランドにあたるラグジュアリーブランド『feast by GOMI HAYAKAWA』は「品乳ブラ」として一躍有名になる。

コンプレックスから生まれた、「品乳ブラ」

―まず「シンデレラバスト」や「品乳ブラ」生み出したきっかけや、ニッチと思われがちなところに目を付けた理由を教えてください。

ハヤカワ:もともと私自身、貧乳がコンプレックスなんですが、貧乳向けの商品はほとんど売っていません。

ショッピングモールに下着屋さんが3〜4件入っていたとしても、全店舗で5個も売っていないくらい商品がない、とういうことを体感していたので、それを「自分で実際に形にすればいいかな」と思い始めたのがきっかけです。

小さい胸用のブラは一応あるにはあるんですけど、まず、ダサいんですよね。フルオーダーのものでも、やっぱりデザインがとてもダサいんです。

そこで、「大企業はこれが限界なんだ、だったら私がやったほうが早いな」と思いました。自分が欲しければ作る、人に何かを望むならまず自分から動くという理念を持っているので、文句を言う前に作ろうと思いました。

もともと私が服を作り始めたのも、「自分の欲しいものを作りたい」という思いからです。「自分がしたいことを自分でする」「自分が嫌だと思ったことは自分で変える」というような。

単純な考えですけど、それが今、様々な所に繋がっているんだなと思っています。

―シンデレラというコンセプトは、元々あったのですか?

ハヤカワ:シンデレラバストというのはワードとして使っているだけで、コンプレックスをさらに助長するような「貧乳」という単語を何とかしたいと思っていました。

コンプレックスを強める単語や、コンプレックスに対するそもそもの価値観を変えるというところを含めてブランディングなので、コピーから入ったり、ビジュアルから入ったり、いろいろな方面から攻めようとしています。

起業して資金が集まり、視界が開いた

―株式会社ウツワを起業したきっかけを教えてください

ハヤカワ:もともと個人事業主でやっていこうと思っていたので、起業する予定はありませんでした。けれども、アパレルは事業がだんだん大きくなってくると、権利関係がややこしくなります。

「シンデレラバスト」が、ツイッターの流行の言葉のランキングで上がってきたり、ニュースで扱われるうちに、いつのまにか他社が勝手に取り上げていたんです。「大人って容赦なく怖い事してくるんだ!」と感じ、自己防衛しなきゃと思いました。

以前、テレビにひどい扱い方をされて揉めたとことがあったんです。下手したらブランドを潰さざるを得なくなりますし、そうすると私自身がつぶれちゃうことになります。そこで、自分のブランドや権利を守る盾として、会社を作っておいたほうがいいかなと思いました。

「ウツワ」という社名ですが、言ってしまえば会社自体には価値がなくて、その中に入るものに価値がある、本当に器として作っているという意味で「ウツワ」という社名にしています。

―起業したことで、悩んだことはありましたか?

ハヤカワ:資本調達をどうすればいいのかとても悩みました。周りの人の話を聞けとよく言われましたが、周りで起業している人はIT系の人が多く、資金調達の面でかなりやり方が違うんです。

一億に売り上げが到達するのは小売りのほうが早いけれども、利益の出方として律儀に妥当な金額しか返って来ません。宝くじ要素がないというか、アメリカンドリーム感がないような(笑)。堅実に自分で売り上げを立てていかなければならないので、資本調達しづらいのです。

最初の頃は親からも資金提供を受けず、基本的に自分のお金だけでやっていたので、作れる商品数も少ないし、毎回完売してしまったりで大変でした。

クラウドファンディングも活用しました。15万円で申請していたのですけれども、いつの間にか140万円集まっていて、(手数料が抜かれたので110万くらいになるのですけど、)自分の想定以上のお金が集まりました。

この体験で良かったことは、自分の想定していた金額よりも1ケタ多い金額を扱うようになったことで、視界が広がったということですね。

それまでは自分の資金だけだったので、ポスターに何万円もかけられないと資金を削ったり、このモデルにこの金額は払えないと、資金注入する勇気がなくて、逆にクオリティーを下げてしまっていました。

そこへ110万円使ってください、むしろ使い切らなきゃダメなくらいなので、視界が広がって大きな金額を扱えるようになったと感じています。しっかりお金をつぎ込めばそれなりのクオリティのものが上がるということを間近で体感しました。

4月〜5月くらいに、ようやく日本政策金融公庫の創業補助金が入り、自分の資本金よりも多めの金額を借りることができました。どうしても小売は資本力がものをいう世界なんです。次は水着やパジャマを作ろうと考えていますが、それを大きめのロットで作れるので、資金調達ができて良かったと思っています。

私、もともと凄いケチなんです。普段は、「お昼ご飯に500円も使うなんて!」と言ってお弁当作るくらいです。けれど、仕事の時などは、ここに広告で100万使うべきだとか、発注するのに200〜300万かかるということが分かるようになってきました。ケタが増えていくことによってだんだん視界が広がるのかなと思っています。

心を動かされたら、お金を使っちゃう

―PRやブランディングに関して意識していることってありますか?

ハヤカワ:私は中学高校のときにフリフリしたロリータブランド服にすごい金額を使っていました。だから、心を動かされたらお金を使っちゃうという感覚がある程度わかります。

「自分がこれをされたらたまらないな」みたいな。完売しちゃったら余計欲しくなる、という気持ちが分かるので、それを実際に自分のブランドに生かしているというのはすごく大きいです。

あと、価格競争に走ってはいけないと思っています。大手メーカーと似たものを出して大手を超えるクオリティーを作ろうとすると、価格的に圧倒的にきついんです。だから、戦うよりも、別ベクトルでやっていきたいと思っています。
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コミュニティー内で紹介が紹介を呼ぶ人脈作り

―権利を守るために起業されたということで、権利や商標などは専門家の方にお聞きする形かなと思うのですけれども、どのように人脈などを作っていましたか?

ハヤカワ:弁理士の方は、たまたま私の展示会とかに行った時、「もともと興味あったんですよ」のような感じで、向こうから声をかけていただいたりしていました。

税理士や弁理士以外の方に関しては一番最初は自分で見つけたり、それこそ税理士に関しては親の使っている所に最初お願いをしていて、そのあとは紹介を通してという感じでした。

同じようなことをしているコミュニティーって、既に結構できあがっていたりするじゃないですか。その中で私はアパレルで、企業の方はIT関係が多く、他と競合することがないので、協力していただき紹介していただくことが多いですね。

―起業するとなってから、弁理士を知ったんですか?

ハヤカワ:そうなんです。技術系やアパレルは権利が一番大事ってぐらい大事じゃないですか。ITと同じ点は、そのままコピーで同じものを作れる点で、ITと決定的に違う点は、権利で守れるところです。

商標や意匠でかなり強めに守ることができるので、勉強し始めなきゃいけないなと思っていました。実際それで自分のブランドを守ったり、やりたいことができるようになったことが強みかなと思います。