【第一回】スタバ元CEO 岩田 松雄氏「ミッションが浸透する」8つのコツ

ekotoba2

ミッション手帳で「人」の悩みを解決

岩田:創業時の思いを明文化して皆で共有する方法として、『ミッション手帳』を活用するのも良いと思います。
現在経営者に向けてエグゼクティブ・コーチングを行っているのですが、ベンチャー企業にしろ、大企業にしろ、社長さんの悩みの7割ぐらいは「人」の問題です。会社の中には思い(ミッション)を共有している人がいれば、そうでない人もいます。日々業務の中には簡単に白黒つけられないような問題がでます。それらを解決するために、私は会社の思いを明文化させた『ミッション手帳』を作ることをお勧めします。何か問題が起こった時に、企業の原点が書かれているミッション手帳に照らして、判断するのです。

あるベンチャー企業の社長さんは、社員がバラバラの方向性を向いているという悩みを持っていました。『ミッション手帳』を作成し一年間実践したところ、社員が自ずと『ミッション手帳』を読んで自ら判断して行動するようになってくれたそうです。そしてずっと頭を痛めていた不良社員は、自然と辞めていったそうです。

また、「考え方、価値観が違い、能力もいまひとつ…」という人がいても、簡単に解雇できないのが現状です。考え方が違うというのは企業にとっては決定的なダメージです。『ミッション手帳』を元に、皆で勉強会や意見交換を行う。

つまりミッションに対して共有化することによって、会社のミッションと自分の方向性が合っているのかを確認できます。そこで、自分とは方向性が違うと感じ、合わないと思う人は自然とその会社を辞めて行くのです。

『ミッション手帳』を作成し、新しく入ってきた人たちにも『ミッション』を浸透させることにより皆が同じ方向を向いて仕事ができるようになる事が大切なのです。

理念やミッションを導入した成功例として挙げられているのは、JALの再生です。稲盛さんが『フィロソフィー』(=ミッション)を、3万人を超えるにスタッフに徹底的に浸透させました。<理念>や<使命>という事を大事にすることによってJALはあっという間に再生できたのです。

だからリーダーの仕事というのは、企業の段階によって違うけれども、基本的にはずっとその会社の『ミッション』や創業の思いを語り続ける事、徹底する事、あるいは意識することが一番の仕事だと思うのです。

リーダーに問われる資質

-難しい状況下にこそリーダーの資質が問われると思うのですが、一番気を付けていることは何ですか?

岩田:私も経験したのですが、「リーダーはトイレに行くときも見られている」。

つまりみんなはリーダーを本当によく見ているのです。顔色を見ているというと機嫌を取るとかというふうに取られるかもしれませんが、いつも自分が見られていることを意識しなくてはなりません。結構大変な状況でも、「絶対に大丈夫だから…」という明るさというか、「為せば成る」という気持ちをリーダーが持っていないと皆が不安になりますよね。

-リーダーとマネージャーの違いはあるのですか?

岩田:マネージャーは決められたことを上手く行うよう求められています。リーダーは、そもそも何をするかを決める人です。だからマネージャーは必要のないことを一所懸命してしまうこともあるのです。リーダーの判断によっては悪いことを一所懸命やってしまう場合もあるのです。

リーダーは常に良い方向に皆を導く必要があるのです。リーダーが何をすべきで、何をすべきではないかの判断を誤ってはならないという事です。

iwata-matsuo

岩田さん自身の『ミッション』とは

-最後に、今現在はコンサルティング業という事ですが、どのような内容の仕事が多いのですか?

岩田:多いのは講演ですね。その次が執筆、その次がビジネススクールでの授業です。コンサル的な仕事やエグゼクティブ・コーチングいわゆる経営者のコーチングなども増えてきています。最近はいろいろな企業でリーダー育成の研修を頼まれるケースも増えています。

私は日本も日本人も大好きです。日本をもっといい国にしたいという思いがあって、じゃあ自分が何をできるのか?…今の日本には絶対的に良いリーダーや経営者が足りていないと思っています。だからもっとリーダーを育成していこうと思っています。

私がこの日本のためにできることは、微力ながら、講演したり、ビジネススクールで教えるとか、経営者のコーチングをするとか、リーダーはこうあるべきだという自分の経験の本を書く事だと考えています。
つまり私の『ミッション』はリーダー・経営者を育てる事なのです。

リーダー8か条
  • ■ 『ミッション』や<理念>を常に発信し続ける
  • ■ 社員全員が社長の働きができるようにしっかりと『ミッション』浸透させる
  • ■ 『ミッション』の浸透により社員に判断を委ねられる
  • ■ 採用は慎重に。失敗するとマイナスになることも
  • ■ 仕事を頼むときはその意味や意義を説明する
  • ■ 教えることは最大の学び
  • ■ 自ら学び判断できる社員を育てる
  • ■ 社長と同じ気持ちになれるように言葉のキャッチボールをする

(取材協力:飛鳥新社)
(編集:創業手帳編集部)

岩田氏プレゼントページ_バナー