竹中平蔵氏が語る日本の創業チャンス

竹中平蔵氏 特別インタビュー

アベノミクスによって日本経済が変わりゆく今、この現状は起業家にとってはどのような状況と言えるのだろうか。また、経済において起業家が与える影響とはどのようなものなのだろうか。日本経済を知り尽くした人物、竹中平蔵氏に話を伺った。

竹中平蔵氏が語る日本経済の今と未来

竹中 平蔵(たけなか・へいぞう):一橋大学卒業後、日本開発銀行(現日本政策投資銀行)に入行。1981年ハーバード大学、ペンシルバニア大学客員研究員。1989年にはハーバード大学に准教授として赴任する。2001年民間人として経済財政政策担当大臣に起用。2004年には参議院議員に当選。以後、2006年に政界を引退するまで経済担当閣僚を歴任する。現在は慶應義塾大学教授、グローバルセキュリティ研究所所長のほか、日本経済研究センター特別顧問、パソナグループ取締役会長など多数の要職に就き、産業競争力会議のメンバーも務める。


東京五輪を控え、日本は普通ではないチャンスを迎えている

ー日本経済の現状と今後についてお伺いします。起業家にとって今の経済状況はいかがですか?

竹中:経済は常に厳しさとチャンスが同居していますが、今はその状況が通常の時以上に鮮明な時期だと言えます。経済全体が良くなっているということは、大きな追い風ですよね。去年1年間で日本の株価は57%上がりました。この数字はアメリカの2倍で先進国ではダントツの1位です。今まで日本はマクロ経済運営ができていませんでしたが、ようやく普通の枠の経済運営ができるようになりました。

ー良い状況ということですね。

竹中:確かにそうではありますが、不安要素もたくさんあります。ちょっとしたことで世界全体が一気に動くような、世界経済全体がシンクロナイズする状況なので、マイナスの影響も受けやすい。従来以上に分散という意味でのリスクが大きくなってきています。ただあえて申し上げたいのは、日本は東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年を控え、普通ではないチャンスを迎えているということ。オリンピックは世界の7割の人が観るイベントですから、やはり特別なんですよ。だから普段はできないような特別なことがいろいろ起こるんですよね。

ー特別なことというのは?

竹中:今の東京の基盤は、50年前の東京オリンピックのときにできました。まず新幹線が開通したのはオリンピックの9日前です。それから青山通り。今でこそ華やかな通りですが、あそこはもともと国立競技場と渋谷の体育館を結ぶ道で、オリンピックのために道幅を広げました。それからホテル。ホテルオークラはオリンピックの2年前に完成し、ニューオータニや東京プリンスホテルはオリンピックの年に開業しています。環状七号線は日本で初めて「公的な目的のために私的な土地所有権を制限しても良い」という土地収用法を適用して作った道路なんです。

こう見ると、やはり何かオリンピックだからということがあるわけですね。これは世界中そうなんです。オリンピック開催国について統計的に分析した人たちがカリフォルニア大学にいますが、その分析によると「オリンピックがあると国内改革が進む」と。オリンピックだから格好悪いことをやめようという流れにもなりますし、オリンピックというのはいい意味で言い訳なんですよ。