『下町ロケット』の弁護士に聞く起業家が知っておくべき商標・特許のキホン

日本の競争力の向上に貢献したい

ー鮫島先生は池井戸潤さんの小説『下町ロケット』に出てくる神谷弁護士のモデルになっていますね。

鮫島:あの小説に書いてある雰囲気はうちの事務所そのものです。実際、弊所は小さな物作り企業のお客さまが多くて、非常にやりがいのある仕事が多いですね。小説の中で帝国重工と佃製作所が技術的に競合するシーンがありますが、交渉の際に帝国重工が大勢で来るのに対して佃製作所は社長がたった1人で来る。それってアンフェアじゃないですか。だから、そういうケースでは我々は佃サイドに立つ事務所でありたいと思っています。

それから、中小企業の経営者の中には我々を片腕として頼ってくださる方もいらっしゃいます。経営者は経営戦略とビジネスゴールの話をされる。それを知財と法務でサポートするのが我々に与えられているミッションです。我々の答え1つで企業の利益が変わることもあるので当然責任も重いですが、そういうことができるというのは本当にやりがいがあります。

ー鮫島先生はもともと企業に勤めるサラリーマンだったんですよね。

鮫島:私はもともとフジクラという会社でエンジニアをやっていましたが、技術1本で食べていくほど才能も情熱もないなと。そう思った時に、もう1つぐらい専門性があればひょっとしたら勝負できるんじゃないかと、まずは知財の資格、弁理士を取ったんです。その時に初めて法律学を学んだら非常に面白くて、その流れで司法試験を受けました。

今の事務所、内田・鮫島法律事務所は2004年に立ち上げましたが、弊所は技術系の弁護士がほとんどです。立ち上げ当初、技術系の法律事務所という概念は世の中にありませんでした。ただ私自身が技術屋だったので、ずっと技術を扱う仕事をやっていきたいという考えが原点にあって、他とも徹底的に差別化を図りたかったんですよね。

ー技術系を専門にしている弁護士事務所というのは珍しいですよね。

鮫島:15年前は、技術系の弁護士がどんな仕事をやるのかということすら世の中に認知されていなくて、仕事と言えばせいぜい特許の侵害訴訟だけでした。だけど訴訟は会社にとって決して良いことではない。訴訟なんか起こす前にビジネス的なアライアンスをしてどんどんビジネスを進めていった方が効率がいいに決まっています。ですから、訴訟の前段階の戦略的な法律業務について考え、それを10年間突き詰めてきました。その集大成が7月に出した著書『技術法務のススメ―事業戦略から考える知財・契約プラクティス』(日本加除出版)です。

ー起業したばかりの人にも役に立つ内容でしょうか。

鮫島:もちろんです。これ1冊を完璧に理解すればかなりのレベルまでいくと思いますよ。それだけノウハウを全部書籍に表現したつもりです。なるべく読みやすくもしました。例えば文章を会話調にして、何が論点なのかという入り口を分かりやすく提示しています。知財業界は、専門家で牙城を作って、「俺たち偉いんだぞ」という見せ方をしてきたので、そのアンチテーゼを行いました。コンサルティングをする以上、お客さまに分かっていただかないとコンサルティングになりませんからね。

ー最後に、優秀な技術力を持った企業に向けてメッセージをお願いします。

鮫島:日本の中小企業の技術は世界的な競争力を持っています。我々は企業戦略をベースに、どうすれば知財と法務の面からさらなる競争力を育てることができるかということをずっとやってきたので、ぜひそれを一緒に考えていければ嬉しいですね。内田・鮫島法律事務所は、日本の競争力の向上に貢献できる法律事務所でありたいと思っています。

日本の競争力の向上に貢献したい

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(取材協力:内田・鮫島法律事務所)

(創業手帳編集部)
BB-WAVE掲載日:2015年2月4日