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男、独り。とっておきの世界遺産の旅

Vol.4 ポーランド・アウシュヴィッツ強制収容所

男、独り。とっておきの世界遺産の旅 Vol.4 ポーランド・アウシュヴィッツ強制収容所〜悲惨さを物語る遺構の数々〜

人類史上、空前絶後の虐殺場といっても過言ではない、1940年にナチス・ドイツによって建設された強制収容所。人類の過ちを決して忘れないために、世界遺産として登録され、多くの旅行客がこの地を訪れ、歴史を見つめ直している。

当時の悲惨さを物語る遺構の数々

さまざまな魅力あふれる世界遺産がある中でも、ここを訪れる時だけは神妙な面持ちになった。1940年から5年間でユダヤ人をはじめ約150万人以上もの人々が犠牲になったといわれるアウシュヴィッツ強制収容所。このような場所を世界遺産にすることに少し違和感を覚えていたが、訪れてその想いは消えた。私が訪れた際にも世界各国の多くの人々がここに足を運んでおり、ドキュメンタリーフィルムや当時の遺構を見ながら、人類の歴史の過ちを見つめ直していたからだ。そのような機会を与えるという意味でも、かつての悲惨さを忘れない過去の証として、世界遺産に登録することでしっかり保存することは大切なことだなと思った。

強制収容所は2つあり、はじめに、面積約20万平方m、28の囚人棟が残るアウシュヴィッツ強制収容所を訪れた。「働けば自由になる」とドイツ語で書かれた収容所入口のいかつい門をくぐると、まるで自分がもうここから出られない囚人になってしまったかのような錯覚を覚える。それほどまで、今もただならぬ雰囲気が漂っている。

とはいうものの、地元の高校生らしき集団が社会見学のためか、緊張感なくおしゃべりしながら見て回っている様子もかいまみえる。しかし、かつてここで虐殺が行われたと思うと、なんともいえない気持ちになる。

囚人棟内には犠牲になった方の写真や衣装、靴など膨大な遺品が展示されている。積み上げられた靴の多さを見るだけでも、いかに犠牲者が多かったかが伝わってくる。集団虐殺に使われた毒薬・チクロンBの大量の空き缶や地下にある独房などを見ると、その生々しさから吐き気さえ覚える凄まじさだ。

でもこの悲惨さに目をそむけてはいけないのではないか。二度とこのようなことが起きないためにも。

鉄道の引込み線が残る“第二のアウシュヴィッツ”

強制収容所はもう1つ残されている。3km離れた場所にある、面積約175万平方m、300棟以上のバラックが建てられていたビルケナウ(第二アウシュヴィッツ)強制収容所だ。ここは映画などにもよく出てくる鉄道の引込み線跡や中央衛兵所などが残されており、アウシュヴィッツ強制収容所よりもさらに広大な敷地になっている。

外に張り巡らされた有刺鉄線、衛兵所の塔から眺める数多くのバラック、バラック内に囚人が詰め込まれた様子がわかる狭いベッドの数々……。人類の狂気とはいかなるものか、その一端をまざまざと見せつけられたような気がした。

実際に訪れると、テレビや雑誌で見るのとはまったく違うリアル感が自分の中に宿っていくのがわかる。数ある世界遺産を訪れた中でも、これほど深くいろいろなことを考えさせられ、かつ印象深い遺産はないなと思った。

(文・写真 / 笠原崇寛)



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